断水時の生活用水に、すべての家庭で共通する「1人1日何L」という必要量はありません。
例えば、1人が1日6回の手洗いに毎回0.5Lを使い、食器洗いなどに1日2Lを使うと仮定すると、生活用水は1日5Lです。
この条件なら3日分で15L、7日分で35Lになります。
ただし、これは節水した場合の計算例であり、衛生的な生活を必ず維持できる量という意味ではありません。
また、水洗トイレを使うか、携帯トイレを使うかでも必要な水量は大きく変わります。
この記事では、断水時の手洗い・食器洗い・トイレなどに使う水の量を比較し、家族人数と日数から必要量を計算します。
断水時の生活用水は1日何L必要?まずは早見表
以下は、生活用水を節約しながら使う場合の計算例です。
手洗いは1人1回0.5Lを1日6回、食器洗いなどは世帯全体で1日2L、4人家族では4Lを使うと仮定しています。
| 項目 | 1人暮らし | 4人家族 |
|---|---|---|
| 手洗い用水 | 3L/日 | 12L/日 |
| 食器洗いなど | 2L/日 | 4L/日 |
| 生活用水の合計 | 5L/日 | 16L/日 |
| 3日分 | 15L | 48L |
| 7日分 | 35L | 112L |
※この記事独自の計算例です。公的機関が定めた災害時の生活用水の必要量ではありません。
※飲料・調理用水、入浴、洗濯、水洗トイレの洗浄水は含みません。
※手洗いは清潔な水と石けんを使い、十分に洗い流せる方法を確保することが重要です。0.5Lで常に十分という意味ではありません。
生活用水の必要量は、何に何回使うかを決めてから計算するのが現実的です。
飲料水3Lと生活用水は何が違う?
災害対策では、飲料・調理用水として1人1日約3Lを備蓄することが一般的な目安です。
これは、手洗いや食器洗い、トイレの水まで含めた数字ではありません。
| 水の種類 | 主な用途 | 考え方 |
|---|---|---|
| 飲料・調理用水 | 飲み水、食品の調理など | 1人1日約3Lを備蓄の目安にする |
| 生活用水 | 手洗い、清掃、食器洗いなど | 用途と使用回数から個別に計算 |
| トイレ洗浄水 | 水洗トイレを流す | 排水設備の安全が確認できた場合だけ検討 |
例えば4人家族なら、飲料・調理用水は1日12Lが備蓄の目安です。
生活用水を仮に16L使う場合、合わせると28Lになります。
ただし、必要な生活用水の量を一律に16Lとするものではありません。
飲料水の備蓄量については、水3リットルはどれくらい?災害時の備蓄量を比較をご覧ください。
普段の家庭では水を1日どれくらい使う?
東京都水道局の資料では、家庭で1人が1日に使う水量は、令和3年度で平均約221Lと紹介されています。
また、一般的な蛇口から水を流しっぱなしにした場合、次のような水量の例が示されています。
| 使い方 | 水の使用量の目安 |
|---|---|
| 洗面・手洗いで1分間流しっぱなし | 約12L |
| 歯磨きで30秒間流しっぱなし | 約6L |
| 食器洗いで5分間流しっぱなし | 約60L |
| シャワーで3分間流しっぱなし | 約36L |
※東京都水道局が示した一定の水栓・水圧条件での目安です。すべての家庭で同じ使用量になるわけではありません。
断水時に平常時と同じように水を使うことは難しい場合があります。
そのため、あらかじめ水を使わずに済む方法や、使用量を減らす方法を考えておくことが重要です。
断水時の手洗いには何L必要?
手洗いは、災害時にも感染症を防ぐために重要です。
ただし、1回の手洗いに必要な水量は、洗い方や水の出し方、使用する容器などによって変わります。
ここでは、計算用に1回あたり0.5L、1L、2Lを使う場合を比較します。
| 1回の水量 | 1日6回 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|---|
| 0.5L | 3L | 9L | 21L |
| 1L | 6L | 18L | 42L |
| 2L | 12L | 36L | 84L |
※1人が1日6回手洗いする場合の単純計算です。
※各水量で十分に手を洗えることを保証する表ではありません。
手洗いには安全で清潔な水を使用しましょう。
水が少ない場合には、汚れの状況に応じてアルコール手指消毒剤などを活用する方法もあります。ただし、目に見える汚れがある場合や、製品が対象としない病原体への対応では、石けんと流水による手洗いが必要です。
衛生を犠牲にして水を減らしすぎないよう注意してください。
断水時の食器洗いには何L必要?
食器洗いも、水の使い方によって必要量が大きく変わります。
東京都水道局の資料では、5分間水を流しっぱなしにすると約60L使う例が示されています。
一方、断水時には、食器の汚れを拭き取る、ラップなどを活用する、洗う食器の数を減らすといった方法も考えられます。
ここでは、食器洗いなどに世帯全体で1日2L・5L・10Lを使うと仮定した場合を比較します。
| 1日の使用量 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 2L | 6L | 14L |
| 5L | 15L | 35L |
| 10L | 30L | 70L |
※すべて世帯全体での使用量を仮定した計算例です。洗う食器の数や汚れの程度などによって必要量は変わります。
食品に触れる食器には、衛生的に使用できる水や方法を選ぶ必要があります。
衛生面で安全か確認できない生活用水を、食器や調理器具の最終すすぎに使用しないでください。
断水時の水洗トイレは何Lで流せる?
地震などの災害で排水管が壊れているおそれがある場合、水が残っていても水洗トイレに流してはいけません。
排水管が破損していると、汚水が逆流したり、建物内に漏れたりする危険があります。
排水設備の安全と、自治体・管理組合などの使用条件を確認するまでは、携帯トイレの使用を基本に考えましょう。
水を流せる場合でも必要量は機種によって違う
排水設備の安全が確認でき、便器メーカーがバケツによる洗浄を認めている場合は、指定された方法で水を流せることがあります。
TOTOの一部の便器では、バケツから便器に6〜8L程度の水を流し、その後に3〜4Lを追加する手順が案内されています。
ただし、これは対象となる便器の手順であり、すべての水洗トイレに共通する水量ではありません。
また、LIXILも地震で排水管が破損している場合には水を流さないよう注意しています。
トイレの水量を試算するとどれくらい?
排水設備が安全に使用できる場合に限り、仮に1回10Lの水を使うとすると、次のようになります。
| 使用回数 | 1日の水量 | 3日分 |
|---|---|---|
| 1回 | 10L | 30L |
| 3回 | 30L | 90L |
| 5回 | 50L | 150L |
※1回10Lという仮定による水量の比較であり、すべての便器の適正水量ではありません。
※地震直後など、排水管の安全が確認できない場合には、この表を参考に水を流さないでください。
断水中に水洗トイレを使おうとすると、大量の水が必要になる場合があります。
そのため、水を使わない携帯トイレを準備しておくことが重要です。
断水時は携帯トイレを何回分用意すればいい?
災害用携帯トイレは、便器などに袋を設置し、排泄物を凝固剤などで処理する製品です。
備蓄量は1人1日5回を目安に計算できます。
| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回分 | 35回分 |
| 2人 | 30回分 | 70回分 |
| 3人 | 45回分 | 105回分 |
| 4人 | 60回分 | 140回分 |
※1人1日5回として計算した備蓄目安です。実際の使用回数には個人差があります。
携帯トイレを使えば、トイレを流すための水を使用せずに済みます。ただし、手指の衛生管理や使用済み袋の保管・処分も必要です。
必要なセット数は、災害用携帯トイレは何回分必要?3日・7日分と50回・100回セットを比較で詳しく紹介しています。
災害用携帯トイレを準備する方へ
便袋・凝固剤・処理袋などが、必要な回数分そろっているか確認してください。
4人家族で断水が3日・7日続いたら何L必要?
次の条件で生活用水を計算してみます。
- 手洗い:1人1回0.5L、1日6回
- 食器洗いなど:世帯全体で1日4L
- トイレ:携帯トイレを使用するため洗浄水は0L
- 飲料・調理用水:別に1人1日3L確保
4人家族の手洗い用水は、
4人×0.5L×6回=12L/日
です。
食器洗いなどの4Lを加えると、生活用水は1日16Lとなります。
| 用途 | 1日分 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|---|
| 手洗い | 12L | 36L | 84L |
| 食器洗いなど | 4L | 12L | 28L |
| 生活用水合計 | 16L | 48L | 112L |
| 飲料・調理用水 | 12L | 36L | 84L |
| 両方の合計 | 28L | 84L | 196L |
※生活用水の設定は計算用の仮定です。入浴・洗濯などは含めていません。
※飲料・調理用水は別用途として加算しています。生活用水と飲用水に必要な水質の条件は異なります。
4人家族で7日分という条件では、生活用水112Lという計算例になりますが、これをそのまま全国共通の備蓄基準として使わないでください。
実際に何L確保するかは、家庭の衛生用品や断水時の使用方法、給水体制に合わせて考えましょう。
生活用水の必要量・3日分・7日分シミュレーター
家族人数、手洗いの回数、食器洗いなどの水量から、1日・3日・7日分の生活用水を計算できます。
飲料・調理用水も別枠で表示するため、備蓄量の違いを確認できます。
※計算結果は入力した使用条件による数量の目安です。衛生上十分な水量や、トイレ排水設備の安全性を判定するものではありません。
断水時の生活用水を計算
家族人数と1日の水の使い方を入力してください。初期値は計算用の例です。
※生活用水は手洗い・食器洗いなどの入力値を合算します。水洗トイレ、入浴、洗濯は初期条件に含まれません。飲料・調理用水は生活用水と別枠です。手洗いに必要な衛生上の水量を判定するものではありません。トイレの排水設備が安全かどうかも判定しません。
生活用水はどうやって確保する?
断水時に備える場合は、飲料水と生活用水を分けて確保する方法を考えましょう。
浴槽の残り湯を活用する
浴槽に残した水は、用途を限定した生活用水として利用できる場合があります。
ただし、残り湯は時間が経つと衛生状態が悪くなることがあるため、飲料水や食品に触れる器具の洗浄には使わないでください。
また、小さな子どもがいる家庭では、浴槽の水による溺水事故に注意が必要です。
浴槽に水をためたままにすることが適切か、家族の安全も考えて判断してください。
飲料水と区別した容器に保存する
生活用水を保存する場合は、清潔で用途に合った容器を使用し、飲料水と混同しないよう表示しておきましょう。
灯油や薬品などを入れたことがある容器は、水の保管に使わないでください。
保管した水の衛生状態には注意し、使用する目的に応じて適切に管理してください。
給水所から水を運ぶ準備をする
断水時は、自治体が応急給水を実施する場合があります。
ただし、給水開始時期や配布量は災害の状況によって異なります。
また、水は10Lで約10kg、20Lでは約20kgになります。
容器本体の重さも加わるため、給水所までの道のりや、運搬する人の体力に合った容器を考えましょう。
給水タンクは10Lと20Lのどちらがよい?
給水タンクは、大容量なら一度に多くの水を運べますが、満水にしたときの重量も大きくなります。
| タンク容量 | 満水時の水の重さ | 考えたいこと |
|---|---|---|
| 5L | 約5kg | 少量ずつ運ぶ場合 |
| 10L | 約10kg | 水量と持ち運びの負担を比較 |
| 20L | 約20kg | 運搬手段・耐荷重を確認 |
※水の重さのみです。容器本体の重量を含めていません。
断水時の給水タンクを比較したい方へ
飲料水に対応しているか、満水時に持ち運べるか、キャップが確実に閉まるかを確認してください。
水を使わずに済む備えも重要
断水時は、大量の水を備蓄することだけが対策ではありません。
例えば、携帯トイレ、使い捨て食器、食器用ラップ、ウェットティッシュなどを準備する方法があります。
ただし、これらは用途によって石けんと流水の手洗いの代わりにならない場合があります。
また、災害時はごみの収集が遅れる可能性があるため、使い捨て用品の保管・処分方法も考えておきましょう。
必要な水を確保しながら、水を使わなくても対応できる作業を増やすことが重要です。
断水時にやってはいけないこと
災害時には、水があれば何にでも使用してよいわけではありません。
- 排水管の安全確認前に水洗トイレを流す
- 飲用に適さない水を飲む、または調理に使う
- 灯油や薬品が入っていた容器に飲料水を入れる
- 汚れた生活用水で食器の最終すすぎをする
- 保管状態の悪い水を安全確認せず使用する
- 重い水の容器を無理に運ぶ
集合住宅では、上階から排水した水が下階に漏れる危険もあります。
地震後の排水設備の使用については、自治体や管理組合、設備管理者の指示を確認してください。
参考:横浜市「災害時には家のトイレを使用してもいいのでしょうか?」
断水時の生活用水についてよくある質問
断水時は1人1日3Lあれば足りますか?
3Lは主に飲料・調理用水の備蓄目安です。
手洗いや清掃、食器洗いなどに使う生活用水は別に考える必要があります。
4人家族では生活用水が何L必要ですか?
使用方法によって異なります。
例えば1人1日6回、1回0.5Lの手洗いと、世帯全体で4Lの食器洗いなどを仮定すると、1日16L、3日48L、7日112Lという計算です。
これは必要量を保証する数字ではありません。
断水してもお風呂の残り湯でトイレを流せますか?
地震などで排水管が損傷している可能性がある場合は流してはいけません。
排水設備が安全で、便器メーカーや管理者が認める場合に限り、指定された方法で使用してください。
断水時は携帯トイレを使った方がよいですか?
水洗トイレを使えない場合に備えて、携帯トイレを準備しておくことが重要です。
使用に必要な便袋・凝固剤・処理袋もそろえましょう。
生活用水は7日分すべて自宅にためる必要がありますか?
自宅で確保できる量には限界があります。
家庭の備蓄と、応急給水、節水用品などを組み合わせて考えましょう。
ただし、災害後すぐに給水を受けられるとは限らないため、家庭の状況に応じて準備することが大切です。
関連記事|断水時の必要量を数字で確認
まとめ|生活用水は飲料水と分けて用途ごとに計算する
断水時の生活用水は、家族人数・手洗い回数・食器洗いの方法などによって必要量が変わります。
例えば1人1日5Lの生活用水を使う条件なら、3日分は15L、7日分は35Lです。
4人家族で1日16Lを使う条件なら、3日分は48L、7日分は112Lになります。
ただし、これらは使用方法を仮定した計算例です。飲料・調理用水の1人1日約3Lとは別に確保し、衛生面にも配慮しましょう。
特に災害直後の水洗トイレは、排水管の安全が確認できるまで水を流さず、携帯トイレなどで対応することが重要です。
参考資料: 東京都水道局「水の上手な使い方」、 川口市上下水道局「水道水の備蓄方法」、 京都市上下水道局「ご家庭でもできる災害への備え」、 横浜市「災害時のトイレ使用について」
